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『「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場』-知れば知るほど「即原発ゼロ」へ [No Nukes]

政府が新エネルギー政策策定にあたり、「原発ゼロ」という国民の圧倒的世論に押され、当初目論んでいた「2030年に原発比率15%」を「2030年代に原発ゼロを目指す」とせざるをえない状況に追い込まれる中で、新たに浮上してきたのが、国の核燃料サイクル、具体的には青森県六ヶ所村の使用済み核燃料再処理工場をどうするかの問題だ。この難題に政府は結論を先送りする方針だが、さっそく青森県知事は核燃料サイクルの堅持を国に要望している。
六ヶ所.jpg『「最悪」の核施設 六ヶ所再処理工場』(小出裕章・渡辺満久・明石昇郎共著、集英社新書)は、タイムリーにこの施設の危険性をわかりやすく解説してくれる。
変動地形学の専門家・渡辺満久氏は、再処理工場が活断層の上に建てられていることを、一般の人にも分かりやすく解説している。と同時に、原子力安全委員会がいかに事実をねじ曲げ、強引に「活断層はない」と結論づけて安全審査をパスさせたかを暴露する。
そして、小出氏と明石氏はこの工場がいかに危険な施設で、正常稼働しただけでどれだけの放射性物質を周辺の環境にばらまくか、そしてひとたび事故が起きれば、日本のみならず世界にいかに深刻な核汚染をもたらすかを、具体的なシミュレーションを交えて描き出す。3.11以前であったら「ああ、そうなのか」程度しか感じられなかったかもしれないが、3.11の悪夢を経た今では、戦慄なしに読めない内容である。
今日、日本の核燃料サイクル計画が、六ヶ所再処理工場や高速増殖炉「もんじゅ」を含め、全く現実性がないばかりか、経済性にも適合しないほど高くつくものであることが明々白々となり、実質的に破綻しているにもかかわらず、国は「脱原発依存」を言いながら、計画を諦めることができずにいる。「原子力ムラ」の利権構造は言うに及ばず、嘘の上に嘘を重ねて築き上げてきた「原子力帝国」の複雑なからくり故である。
原発や原子力のことは、学べば学ぶほど、核の恐ろしさへの認識が深まり、「即廃止、即廃炉」への思いが強まるものだということを、この1年半の私の経験は教えてくれる。自然は2030年代どころか、5年、10年先まで静かにしていてくれる保証などどこにもないのだ。
それにしても、「原子力ムラ」は過去数十年の間に、この狭い国土に、50数基もの自爆装置を、よくもまあつくり続けてきたものである。「集団自殺」とは、仙谷由人もよく言ったものだ。「原子力ムラ」こそこの国を「集団自殺」(他殺=殺人?)へ導くカルト集団だ。罪のない一般国民をこれ以上巻き込む前に、このカルトを壊滅させなければならない。
しかし、首尾よく壊滅させたとしても、彼らの残した「サティアン」には1万5千トンもの使用済み核燃料が残されているだけでなく、英仏からは再処理した核燃料を引き取れと催促されている。彼らは無責任にも「集団自殺」して消え失せたとしても、残された私たちは、この膨大なゴミの処分方法もないまま、爆弾を抱え続けるように、子々孫々何万年もこれを引き継いでいかなければならないのだ。
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