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松田聖子が歌ったジャズ「SEIKO JAZZ」 [Jazz]

SEIKO.jpg松田聖子が出したジャズアルバムが一部で話題になっているようだ。私はジャズボーカルはほとんど聴かないのだが、Apple Musicの新曲でその「SEIKO JAZZ」が先週配信されたので、3回ほど聴いてみた。「グラミー賞はじめ数々の賞を受賞した川島重行のプロデューサーで、デビッド・マシューズがリーダーを務めるマンハッタン・ジャズ・オーケストラやマンハッタン・ジャズ・クインテットの精鋭メンバーがレコーディング参加」という贅の限りを尽くしたアルバムだ。
確かに松田聖子はアイドル時代から歌唱力があったし、サントリービールのCMソングで知られる「SWEET MEMORIES」というジャジーな曲も過去にある。私は聖子ファンではないが、「SWEET MEMORIES」は彼女独特の甘えたような歌声が曲にうまくマッチし、英語の歌詞もけっこうイケていて、気に入っていた。
しかし、今度のアルバムは、なるほど55歳の円熟した松田聖子のこのアルバムに注いだ情熱が感じられるものの、ある意味優等生的過ぎていて、後に残るものがない。喩えていえば、ウィントン・マルサリスのトランペットにも似ている。
Jポップや演歌の歌手がジャズに挑戦した例は少なくない。比較的最近では、八代亜紀、UA、JUJUなど。なかでもJUJUは、ジャズを志してニューヨークに渡ったものの、自分の目指している音楽がジャズの範疇に納まりきれないものと気づきポップスに転向した過去を持つだけあって、過去2枚出したアルバムは力作で、私としては珍しく繰り返し聴いている。特に最初のアルバム「DELICIOUS」に収められた「Moody's Mood For Love 」は難曲だと思うのだが、さりげなく歌い上げていて、プロ顔負けだと深く感銘した。
逆の例としては、もう20年近く前のこと、当時人気だったあるジャズ歌手がJポップに挑戦した歌を、たまたまラジオで聴いたことがあるのだが、その時「この人、こんなに歌が下手だった?」という感想を抱いたのを覚えている。
歌というのはかくも難しいもの。演歌の達人だからといってジャズをやらせてもうまいとは限らないし、難しいと思われているジャズの歌手にJポップを歌わせても凄いという訳でもない。何を歌わせても超一流で人々をうならせることができる美空ひばりのような歌手は、百年に一度出るか出ないかだろう。
そういう意味で、松田聖子の「SEIKO JAZZ」は、「聖子らしく贅の限りを尽くして制作したジャズアルバム」以上でも以下でもないと思う。

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