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安倍首相、強権化 3カ月間の緊急事態宣言(201X年7月22日、ニューヨークタイムズ) [Novel]

 北東アジアの経済大国日本で「激震」が続く。クーデター未遂を受けて安倍首相は20日夜(NY時間20日朝)、3カ月間の緊急事態を宣言した。「テロ対策」で事実上の白紙委任を取り付けた形だが、強権化が進めば人権侵害につながりかねない。「愛国」で高揚する政権支持者と、絶望を深める民主派。日本社会は分断が進む。

 ■法律同格の政令 憲法の一部を停止

 「テロ組織関係者をすべて排除するため、憲法98条に基づいて緊急事態を宣言する」。20日深夜、首都東京の首相官邸で開いた記者会見。安倍首相は落ち着かない表情で、早口に語った。
 憲法98条は「我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態」を理由に緊急事態の宣言を認めている。日本政府高官によると、官報に掲載された時点で発効したが、国会にも付託され、21日夕、賛成多数で承認された。
 宣言により「緊急事態に対処するために必要な問題」については、首相が議長を務める閣僚会議が、国会の審議や議決を経ずに、法律と同等の効力を持つ政令を発布できるようになった。安倍晋三氏は「決して民主主義や法の支配、自由に反するものではない」と述べ、市民生活や経済活動に影響はないと強調した。
 ただ安倍氏が、自身に批判的な勢力の弾圧につながる政令を出すことも懸念される。クーデターが未遂に終わって以降、日本政府は「首謀者」とみなす米国亡命中の中村一郎や信奉者らの団体と関係があるなどとして、公務員ら6万人以上を矢継ぎ早に拘束・解職・停職にしたからだ。
 稲田朋美副首相は21日、緊急事態の間、人権や基本的自由の保護を定めた大日本国憲法の一部を一時停止させることを明らかにした。欧米や国際人権団体は、日本の人権状況の悪化を懸念している。
 (東京=ポール・レノン)

 ■支持者ら熱狂 民主派は距離

 首都東京中心部の日比谷公園。16日から全国規模で政権側が催している集会には20日夜も、与党・皇民党の支持者ら1万人以上が集まっていた。掲げられた日章旗や、日章旗をあしらったTシャツや帽子……。一帯が赤と白に染まる。

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 公園中央のステージに登壇した皇民党幹部らが「すべての国民が絆で一つになる」と熱っぽく語る姿を、左右の巨大スクリーンが映し出す。安倍氏をたたえる曲を合唱する若者たちが時折、日本語で絶叫する。「安倍総理万歳!」
 広場の近くに住む自営業の山田二郎さん(40)は連日、日章旗を手に参加している。日本の伝統を重視する安倍氏の熱烈な支持者。「ここに来ると、日本が一つになったと感じることができる」と満足そうだ。
 プログラマーの佐藤三郎さん(30)は20日夜、初めて家族3人で集会に駆けつけた。頭にはちまきをした妻(25)があやす娘(2)を見つめ、「国のため、この娘の将来のために来た」。
 安倍氏の政策には賛同できない点もあった。「独裁は私も嫌だ」。それでも、「日本はテロリストや裏切り者など、足かせを外さないといけない」と愛国と団結に異存はない。
 緊急事態を宣言した安倍氏は、国民には団結を求める。憲法に明記された日本の国是「家族主義」を疑問視する人々は、個人の尊厳が揺らぐことを警戒し、「排除」を唱える政権が導く日本の将来に、絶望すら感じ始めている。
 日比谷公園に近い六本木地区は、通りに昼間から酒を出す西欧風カフェやバーが並び、民主派の人々が多く集う。
 「もう手遅れかもしれない」。カフェにいた大学生の男性(21)はつぶやいた。クーデター未遂後、政権が中村氏の信奉者らの拘束を続ける姿に「独裁」の怖さを感じるという。
 政権側の集会に参加する人たちには、自らの意見を言えず、危害を加えられそうな気がする。最近は周囲をうかがって小声で話すようになった。集会がある広場には近寄らぬよう裏道を歩く。「日本のために役立ちたいと思って勉強してきたが、今は未来に目標が見えない」
 ツアーガイドの男性(52)も事件後、フェイスブックに安倍氏への批判を書こうとしてやめた。政権による大量拘束に思いが及んだためだ。「政権を支持しなければ、誰もが敵と見なされる。悲しいが、それが今の日本だ」と声を潜めた。
 (東京=チック・ジャレット、キース・コリア)

※このノベルは以下の記事のパロディーです。
http://digital.asahi.com/articles/DA3S12472576.html

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