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傑作、名作とは?ー最近ダウンロードしたアルバム(10) [Jazz]

Apple Musicを聴き始めてこのブログでレビューを書くようになり1年が経つ。ライブラリーもだいぶたまって、そろそろ★4つのアルバムのうち、あまり聴かないものは削除していこうかと思っている。一方で、★5つのアルバムの中には、何度となく聴いてきたものも少なくない。これらの中から、10年後もずっと聞き続けるアルバムが残るだろう。そうしたアルバムが何年経っても色褪せない、古さを感じさせない真の傑作、名作と呼ぶにふさわしのだろう。今回取り上げたマイルス・デイビスのライブも60年以上経つが、少しも古さを感じさせない。
毎週、Apple MusicのJazzカテゴリーには何十曲というニューアルバムがアップされるが、それらのうち私がダウンロードするのは1~2曲だ。基準は1に好みのジャンルで、2にその中でも私のツボにはまったもの、3に演奏と曲の質の高さ、4つめは斬新さやオリジナリティー、といったところだろうか。
TSUTAYAで借りるDVDの映画の中には、時に「お金と時間を返してくれ」と言いたくなるような高校・大学の映研レベルの作品に出くわすこともあるが、世界中から集められるApple MusicのJazzアルバムは、さすがにいちおうプロのレベルに達している作品ばかりだ。しかし、その中で、ダウンロードして繰り返し聴きたくなる作品はそうそうない。また、そう思ってダウンロードしてはみたものの、実際にはあまり聴かなかった作品、次第に忘れていった作品もある。そうして淘汰されて残ったものが、少なくとも私にとっての名作、傑作といえる作品なのだろう。

7.jpgLOGAN RICHARDSON blues PEOPLE ★★★★★ Logan Richardsonはミズーリ州カンザスシティー出身で37歳になるアルトサックス奏者。2ギターのクインテット編成で、メンバーはほかにJUSTUS WESTのELECTRIC GUITAR & VOCALS 、IGOR OSYPOVのELECTRIC & ACOUSTIC GUITARS 、DeANDRE MANNINGのELECTRIC BASS 、RYAN LEEのDRUMS。そのうちIGOR OSYPOVはウクライナ出身のギタリスト。アルバムの重厚なサウンドはクリスチャン・スコットのそれに通じるものがあるが、曲はより多様で幅が広い。タイトルにもあるようにブルージーな曲調は、ジャズの目指すべき方向のひとつの可能性を示しているようにも思われる。傑作といっていい。


4.jpgMiles Davis & John Coltrane The Final Tour ★★★★★ マイルス・デイビスクインテットによる1960年3月のパリとストックフォルムでのライブ音源。マイルスの第1期クインテットはすでにこの時期、解体・再編期に入っており、ピアノはレッド・ガーランドからウィントン・ケリーへ、ドラムはフィリー・ジョー・ジョーンズからジミー・コブへ代わっており、前年、「Giant Steps」を発表していたジョン・コルトレーンはこのツアーの後、ほどなくコンボを抜けている。そのコルトレーンが独自の奏法を確立していく途上にある演奏はすでに巨匠の片鱗を示しており、マイルスのリーダーアルバムなのに2人の名が冠された理由がよく分かる。220分にも及ぶので、私は同じ曲はベストのものだけダウンロードした。


5.jpgERIK FRIEDLANDER ARTEMISIA ★★★★★ Erik Friedlanderは今年57歳になるジャズチェリスト。父親は著名な写真家だったという。ジャズバイオリンはよく聴くが、チェロのジャズを聴くのは初めてだ。しかも、ピアノトリオをバックに、比較的オーソドックスなジャズを演奏している。時にピッチカートも駆使した演奏は、低音のバイオリンを聴いているような感じがする。このアルバムを聴いていると、弦楽器のジャズのソロ楽器としては、音域的にバイオリンよりもチェロの方が合っているのではないか、などと思う。


6.jpgDAVE LIEBMAN JOHN STOWELL PETITE FLEUR: THE MUSIC OF SIDNEY BECHET ★★★★☆ オープニングのPETITE FLEURを聞いて懐かしさを覚えた。幼い頃よく耳にした曲だ。アメリカのクラリネット、ソプラノサックス奏者シドニー・ベシェによって作られたこの曲は、1959年、ザ・ピーナッツのデビュー曲として「可愛い花」のタイトルで日本でも知られた。マイルスのグループに「オン・ザ・コーナー」(1972年)前後に在籍したマルチリード奏者Dave Liebman は現在71歳だが、最近はフリーっぽいジャズをやっているかと思ったら、これまた一転してしっとりとしたスタンダードジャズを聴かせてくれる。PETITE FLEURは最初のデュオ以外にも、中ほどにJohn Stowellのソロ、そして最後になんとDave Liebmanのピアノソロでも演奏されている。また、Dave Liebmanはこのピアノとサマー・タイムでのウッド・フルートの演奏を除いて、ソプラノサックスのみ吹いている。

8.jpgANDREAS VARADY THE QUEST ★★★★☆ ハンガリーのロマ民族出身のAndreas Varadyは20歳のギタリスト。ロサンゼルスで録音されたこのアルバムでは父親のOndrej Bandiがベースで、15歳の弟Adrianがドラムで参加している。ほかにアルトサックスのRadovan Tariskaはスロバキア出身、ピアノのBenito Gonzalezはベネズエラ出身。Andreasのギターはパット・メセニー的な現在の主流派ジャズギター奏法。アルバムはニュー・メインストリーム的に仕上がっている。Radovan Tariska のサックスが活きている。9のRadiskaはBenito Gonzalezのマッコイ・タイナー的演奏が聴け、アルバム一番の盛り上がりを見せる。


10.jpgSPIRIT FINGERS SPIRIT FINGERS ★★★★☆ Greg Speroのピアノ、フランス出身のHadrien Feraudのエレクトリック・ベース、Mike Michelleのドラム、イタリア出身のDario Chiazzolinoのギターからなるカルテットの演奏。注目はなんといってもHadrien Feraudのエレクトリック・ベース。随所で彼のソロが光っている。反対に、Greg Speroの単一和音を連打するピアノが、通奏低音的効果を狙ったのだろうが、私にはアルバム全体を単調なイメージにしているようで残念なところだ。


2.jpgDAN WEISS STAREBABY ★★★★☆ ニューヨークで活躍するDan Weissのドラムにエレクトリックベース、ギター、2台のピアノ&キーボードを加えた演奏は、ヘビメタにアバンギャルドジャズが融合したような独特の世界を創り出している。




3.jpgPOLYPLUS release ★★★★☆ POLYPLUSは様々なバンドで活躍する5人組のパンクジャズバンド。文字通りのフュージョンミュージックだ。特にTSUUJIIのサックスが炸裂する最初のlimiterがいい。




1.jpgCOHERENCE QUARTET SAGAYE ★★★★☆ サックスのŁukasz Kluczniak、ピアノのRobert Jarmuzek、ベースのMarcin Lamch、ドラムのMarcin Lamchはともに30〜40代のポーランドのミュージシャン。ECMテーストの良質で伝統的なヨーロッパジャズを聴かせてくれる。


9.jpgNubya Garcia When We Are ★★★★☆ Nubya Garciaはカリブ海出身の両親の元に生まれたイギリスの20代女性テナーサックス奏者。カルテットによるロンドン録音のEP盤。後半2曲は前半2曲のリミックス。Nubya Garciaのサックスは確実性があり、曲はコンテンポラリーなジャズに仕上がっている。



「最近ダウンロードしたアルバム」はいちおう今回で終了します。今後はダウンロードしたアルバムの中から、「これは傑作!感動した!」と思った作品のみ、随時取り上げていこうと思っています。


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