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原発・放射能-不安を煽るのか、安全・安心を煽るのか? [No Nukes]

反原発小説『日本滅亡』に対して、「過剰に不安を煽る内容は読んでいて不快」との読者の批判をいただいた。しかし、不快と感じるかどうかは別にして、私がこの小説を書いた目的は、一人でも多くの国民に対してある種の「不安を煽る」ことにあったのだから、考えようによっては作者冥利につきることかもしれない。
3.11以前、広瀬隆高木仁三郞等反原発の先達は、命を張って原発の危険性について不安を煽り続けてきたが、私を含めてほとんどすべての国民は原子力ムラの洗脳によって感性を麻痺させられて、彼らの「扇動」に耳を傾けようとしないまま、フクシマの悲劇を許してしまった。
そもそも原発について「過剰に不安を煽る」とは何だろうか? 南海トラフをはじめ地震の活動期に入り、明日にでも日本に壊滅的影響を与えるような原発事故が起きるかもしれないと騒ぎ立てることだろうか。福島の事故は何重にも幸運が重なってあの程度で済んだが、もし今度ほかの原発で同じような条件で事故が起きれば、急性死も含む甚大な災害になるかもしれないと主張することだろうか。
あるいは、放射能についていえば、山本太郎のように反被曝を唱え、とりわけ内部被曝の危険性を指摘して食品の安全性に疑問を呈することが、「過剰に不安を煽る」ことなのか? 
今必要なのは、不安を煽ることではなく、国民に安全・安心を訴え冷静さを呼びかけることなのだろうか?
国民の7~8割は脱原発だというが、その大部分は原子力規制委員会が厳正な審査をして安全性を保証した原発なら再稼働しても安全・安心だろう。せっかく上向きかけた景気に悪影響を与えないよう、最小限の再稼働は仕方ないだろう。今後20年、30年かけて再生可能エネルギーを開発・普及して、徐々に原発に代替して脱原発を実現すればいいだろう――くらいに考えている。放射能についても、政府の基準値以内の食品なら食べても安全・安心。福島の農民・漁民の生活を守るため、食べて応援。汚染水漏れとかは困るので、東電にはフクイチの廃炉に向けてしっかりやってもらいたい――せいぜいこの程度の認識だろう。
もちろん、「世界最高水準の安全性を備えた原発」「汚染水はコントロールできている」「健康問題は過去、現在、未来も問題ない」と宣言して再稼働、原子力ムラ完全復活にひた走る安倍の暴走を止めるためなら、そうした7~8割の国民の未だ冷め切らない脱原発の雰囲気を大切にして、脱原発のあらゆる勢力とともにたたかっていくことは必要だが、かといって、単なる雰囲気でなく、事実として原発・放射能の真の危険性を知ってしまった者たちが不安を煽って警鐘を鳴らさず、安心・安全と妥協してしまったら、その時点で再稼働阻止、第二のフクシマを止めるたたかいは終わりだ。
私はなにも、このまま原発を再稼働させれば、近い将来に日本を滅亡させるような原発事故が必ず起きるとか、基準値を大幅に下回る食品でも食べ続ければ必ず健康被害が起きるとか、福島の汚染地帯にこのまま人々が住み続ければ、近い将来、大変な健康被害が間違いなく起きると主張しているのではない。むしろそうならないことを祈っている。しかし、国際的な原子力・核推進勢力によって隠蔽されつつも、良心的な科学者の努力によって明らかにされてきた事実に基づけば、そうなる可能性はかなり高いと主張しているのである。そして、そうならないためには、再稼働を阻止して、すべての原発を廃止・廃炉にしなければ、第二のフクシマはいつか必ず起きるだろうし、子どもをはじめ、高汚染地帯の住民の避難と汚染食物の流通をできる限り防ぐ措置を講じない限り、健康被害は2011年3月11日以来の過去にも起きてきたし、現在も起きつつあるし、未来に渡ってはさらに悲劇的に拡大していくことは避けられないと主張しているのだ。
そうした悲劇を避けるためには、平和な日常の夢を再び貪り始めた脱原発の国民の7~8割のふやけた雰囲気に、過剰なまでに不安を煽って、目覚めてもらうしかない。私は何も、流言飛語で国民を惑わそうというのではない。確かな根拠に基づくことを書いて意図的に不安を煽っているのである。そして、これからも、政府・原子力ムラ・マスコミの圧倒的な安全・安心の扇動に抗して、微力を尽くして不安を煽り続ける。


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