SSブログ

Dr.倫太郎、4名の精神科医が監修・協力 [Anti-psychotropic drugs]

昨日の「日刊ゲンダイ」に「ドラマに協力の和田秀樹医師が語る「Dr.倫太郎」の完成度」という記事が載り、和田秀樹がこのドラマに協力していることが明らかにされている。(http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/159506)和田秀樹といえば香山リカと並ぶタレント名ばかり精神科医として有名だが、香山リカが日本の精神医療の現状に無自覚・無批判なのに対し、和田秀樹は日本の精神医学を支配している生物学的精神医学ではない精神分析学的精神医学(自己心理学)に属する医師だ。おそらく倫太郎は彼の学問的立場をひとつのモデルとしているのだろう。
同記事には「精神科の医療監修だけでも3人の有名な大学教授が名を連ね、ほかにも心理療法指導や外科医療監修、看護指導など計8人」の医療関係者が制作に関わっているとある。同紙には具体的な氏名はあがっていないが、あるネット情報によると、「精神科医療監修は 高橋祥友(筑波大学)、古賀良彦(杏林大学)、平安良雄(横浜市立大学)、 心理療法指導は田中あず見」とある。
高橋祥友氏は自殺予防に熱心な医師のようで、関連著書も多数書いている。われわれ反向精神薬の立場からは、自殺、とりわけ若年層の自殺にはSSRIが深く関与しており、自殺者の7割、若年層では9割以上が自殺時に向精神薬を服用していたというデータもあるのだが、もちろん氏にはそのような視点・言及はない。
古賀良彦氏は近年睡眠を専門としているようで、日本催眠学会名誉理事長を務める。生活習慣の改善とともにOTC医薬品の睡眠改善薬(抗ヒスタミン剤)を必要に応じて活用することを勧めている。(睡眠薬=ベンゾジアゼピンを第一選択肢として推奨していないだけまし)
平安良雄氏は横浜市立大学附属病院精神科部長として「早期診断と病態解明のための研究(神経画像研究、分子生物学研究、神経病理学研究など)、効果的で副作用のリスクの少ない合理的な精神科薬物療法の開発のための研究」を行っているというから、ドラマの宮川主任教授のようなものか? そっちの方の監修役だろう。
心理療法指導の田中あず見氏については情報がほとんどない。

Dr.jpg

いずれにしろ、Dr.倫太郎は第3回まで見た限りでは、政治に喩えれば自民党・安倍政権(現状の精神医療)に対する民主党の良心派あたりの立ち位置か? 政治がますます悪質化する現状では、もし民主党良心派の政治家を主人公にしたドラマが放送されれば、官邸・自民党から猛烈なクレームがつき、テレビ局の責任者が自民党に呼び出される事態に発展するところだろう。精神医療の世界でも、5年10年前にDr.倫太郎が放送されていたら、学会の重鎮らの逆鱗を買って厳重な抗議を受けていただろう。「精神分析学的精神医学は科学的な生物学的精神医学に完全に否定された古い学問だ」と。いや、5年、10年前だったら、宮川教授のような精神科医が「清く正しい精神科医」として描かれていたことだろう。
そういう意味では、Dr.倫太郎のようなドラマが放送されるようになったのも、ここ数年、ようやく日本でも患者=薬害被害者を中心として薬物療法偏重の精神医療への批判が高まっている現状を反映したもので、歴史的必然であるともいえよう。
しかし問題は、政治の話と同様、それを受け止める国民(ドラマを見る一般視聴者)が、そこまで深読みできるかだ。実際、ネット上の話題を見る限り、ほとんどの一般視聴者は、そのような意識を持つことなく、単なるエンターテインメントとしてこのドラマを消化しているようだ。せめて、このドラマの影響で、自分や自分の周りの人間がいざ精神医療に関係を持つ事態が生じた時に、現実の精神医療が倫太郎の世界とは余りにも違うことに気づき、疑問を持ち、精神医療・向精神薬の罠にはまることを回避するよう祈るのみだ。



nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。