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首都圏の住民数千万人の避難を示唆ー『亡国記』は近未来リアルであるばかりか3・11リアルだった [No Nukes]

「ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様(みなさま)の生活をすべてお守りすることができません」
「国民のみなさまの健康に影響を及ぼす被害の可能性が出てまいりました」
「西日本に向かう列車などに、妊娠中、乳幼児を連れた方を優先して乗車させていただきたい」
「どうか、国民一人ひとりが、冷静に行動し、いたわり合い、支え合う精神で、どうかこの難局を共に乗り切っていただきたい」
自著『亡国記』の一節ではない。本日付「東京新聞」が報じた2011年3月20日に作成された幻の「首相談話草案」の内容だ。文部科学副大臣だった鈴木寛・元民主党参院議員が、当時官邸の情報発信担当の内閣官房参与を務めていた劇作家の平田オリザ氏に依頼したものだ。原発事故の影響がさらに拡大すれば、菅首相らに提案するつもりだったという。
菅首相自身、一時は最悪の事態を想定し、首都圏5千万人の避難を覚悟していたと自著で明らかにしている。この草案は、そうした当時の緊迫した官邸の空気がリアルに伝わってくる。「日本滅亡」はすぐそこに近づいていたのだ。

東電福島第1原子力発電所爆発事故の真相解明も責任追及もなされないまま、その教訓がほとんど活かされることもなく、昨年九州電力川内原発1・2号機の再稼働が行われ、関西電力高浜原発3号機がそれに続き、今年は再稼働ラッシュが予想される。避難対象とされる周辺住民はたった30km圏に限られ、その避難対策さえなおざりにされたままで。
フクシマの悲劇は100万分の1の幸運が重なって、”あの程度”の事故で済んだとされる。だがしかし、その”幸運”だった事故が、そっくりそのまま、もし原発銀座の若狭湾で起きていたら、それだけで首都圏5千万どころか、関西圏・中部圏・首都圏9千万人が避難を余儀なくされ、この狭い国土からはみ出し、原発難民となって世界を漂流しなければならなかったのだ。
「六年前の東日本大震災に続き、私たちを襲った今般の中部大震災により、今日本国は史上まれに見る危機に瀕しています。震災に遭われた国民の皆様には謹んでお見舞い申し上げるとともに、今こそ全国民が一丸となってこの国難に立ち向かわなければなりません。」
2017年4月1日に起こる南海トラフ巨大地震によって引き起こされた未曾有の原発大爆発後、首都圏を脱出した政府の井高貴代官房長官は、逃亡先の札幌でこう抽象的な談話を発表するしかなかった。政府はもはや国民に避難を呼びかけることも放棄し、国民を救う責任も能力も失ったのだ。(『亡国記』)
もうすぐフクシマの悲劇から5年。人々の記憶だけがセシウム137の放射能よりも急激に衰えつつある。しかし、何も終わってはいないし、何も変わってはいない。むしろ放射能との長い長いたたかいはこれからが本番だ。そして、この狭い国土に住み続ける限り、再稼働を許した原発から逃れて生きることなど、私たちには不可能なのだ。

現実から目を背けるな。現実を見すえよ。想像力をはたらかせよ。知識を蓄えよ。そして、自分が何をなすべきか考えよ、行動せよ。残された時間はそう長くない。



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