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「70歳以上が高齢者」、「働けるうちはいつまでも」働き続ける「労働奴隷」 [Basic income]

「働かざるを得ない」→「働きたい」へのすり替え
 厚労省は2月にインターネットを通じて、40歳以上の男女計3千人を対象に調査を実施した。何歳から高齢者になると思うか聞いたところ、「70歳以上」が最も多い41・1%で、「65歳以上」が20・2%、「75歳以上」が16・0%、「60歳以上」が9・8%と続いた。
 65歳以上で働いている人は増え続けており、15年には744万人いた。労働者の総数に占める割合は11・3%で、1970年と比べて約2・5倍になった。厚労白書に記された内閣府の13年の調査では、働きたい年齢について最も多かったのは「働けるうちはいつまでも」の29・5%で、「70歳ぐらいまで」の23・6%が次に多かった。(朝日新聞 10月4日)
厚労省のこの調査結果が信頼に値するなら、日本人は要するに、世界にも類を見ない、死ぬまで働き続ける「労働奴隷」なのだろう。高度経済成長時代に、日本人は「エコノミックアニマル」だ「働きバチ」だと言われ続けたが、その頃の日本人(主に男)は、現役時代は家族のため、子どものために会社にすべてを捧げても、60歳で定年を迎えれば、あとは優雅に海外旅行にも出かけ、悠々自適な余生を送る人が多かった。それが証拠に、日本には昔から「隠居」という言葉があって、歳をとれば家業を息子に譲り、ジジババは孫に囲まれて子どもたちから大切にされてあの世へ旅立った。
日本経済新聞2015年8月28日付の記事によると、日本人の健康寿命は平均寿命より10年ほど短く、男は71.1歳、女75.5歳だという。仮に上述の朝日の記事に従って、70歳以上が老人で、「働けるうちはいつまでも」「70歳くらいまで」働き続けるとしたら、日本人には隠居して悠々自適な余生を過ごす時間はほとんど残されないことになる。本当に、多くの日本人がこんな一生の終わり方を望んでいるのだろうか? いくら勤勉な日本人のことといっても、私にはとても信じられない。そうだとしたら、狂気の沙汰としか思えない。
本当のところは、「働きたい年齢」ではなく、「働かざるを得ない年齢」、つまり、この国の社会保障が貧弱で老後の生活が保障されていないから働かざるを得ないという現実を表現しているに過ぎないのだろう。
そして、4割以上の人が「70歳以上」を高齢者と考えるのも、65歳定年制(実際は60歳で低賃金条件への雇用延長)が定着し、「70歳定年制」まで言われる一方、年金支給年齢が65歳に引き伸ばされ、さらに70歳への引き上げが言われているお寒い現実に誘導されてのことに過ぎないのだろう。
私も65歳になっても、生活保護水準にも満たない額しか年金が支給されないので、「働けるうちはいつまでも」働かざるを得ない境遇にあるが、死ぬまで食うに困らぬお金の蓄えがあれば、今すぐにでも金稼ぎのための仕事なんかやめてしまいたい。そして、書きたいこと、書くべきことだけを書いて暮らしたいし、旅行にも行きたい、好きなJazのライブにも出かけたい…
だって、もう十分働いてきたし、子どもも一人前になるまで育てたので、残りの人生はこれまで以上に悔いのない生き方をしたいじゃないか。これって、わがままですか?
同じく朝日の9月30日付「急に打ち切られた生活保護「また路上生活か」」という記事には、生活保護を受けていた60代の男性が「就労意欲が消極的」という理由で保護を打ち切られた話が載っている。この男性の場合は弁護士に相談して事実誤認が確認されたため保護が復活されたのだが、そうでなくても、60代(この男性の場合、持病が悪化して働けなくなった)の高齢者に「働けるうちは働け」と、最後のセーフティーネットまで締め上げる行為はあまりに非情だ。

月額12万円のBIが可能だ!
安倍政権は財政危機の原因を膨らむ社会保障費のせいにし、年金や生活保護費の削減を進める一方、アベノミクスの名の下に大規模な公共事業を行ったり、社会保障費に充てるはずの消費増税分をそっくりそのまま企業減税に使う(形式的には違うが帳尻を合わせればそういうこと)等、国民の目を欺き続けている。
だが、考えてみればいい。結婚したくても結婚できない社会、子どもをつくりたくてもつくる余裕のない社会、老人が死ぬまで働き続け隠居のできない社会は、この国の歴史を遡っても、あの狂気の戦争時代を除いてかつてなかったのではないか? 欧米の経済先進国と比べても、日本は異常過ぎる。
ヨーロッパの福祉国家では、60歳を過ぎると早期退職を自由に選べるのが普通だ。そうしても、一生心配せずに暮らしていける年金が支給される。生活保護の捕捉率が1~2割というのも異常な低さだ。それでもなおかつ認定基準を厳しくするというのだから、呆れるばかりだ。
「失われた四半世紀」によって経済的凋落の一途をたどるばかりの日本だが、まだ1人当たりGDPが世界で20位台にある。私の試算によれば、1千兆円を超える財政赤字の「積極的デフォルト」による解消と革命的に大胆な税制改革と財政改革によって、すべての国民に月額12万円のベーシックインカムの支給が可能だ。そうすれば、すべての若者が望む教育を受けられ、結婚したいときに結婚し、子どもをつくりたいときにつくれ、隠居したいときに隠居し、そして何より、夢や希望をかなえるために望みの仕事をすることができるようになるだろう。
だが、そんな希望の未来を手に入れるためには、国民の多くが、国の欺瞞に気づき、「労働奴隷」であることをやめなければならない。そして、ひとり一人が〈自分は何のために生きているのか?〉という人間としての根源的な問いかけを、自分自身に対してしてみよう!
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