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(長期連載)ロボット社会の到来とベーシックインカム -ポスト資本主義社会への架け橋-② [Basic income]

日本でも注目されたベーシックインカム
 日本でも21世紀に入って、特に00年代後半にベーシックインカムに対する関心が高まり、ベーシックインカムに関する書籍も数多く出版された。そして、当時衆議院議員であった田中康夫が民主党政権の鳩山由紀夫、菅直人両首相にベーシックインカム導入の是非について質問し、鳩山由紀夫首相からは、「いわゆる就労と所得保障というものを切り離して考えるという考え方は一つの現実としてあり得ることかな、そのように思っている」という回答を引き出しもした。
 しかし、こうしたベーシックインカム熱も、2011年の3・11を契機に議論が急速に冷めていった。私自身もそうであったが、東京電力福島第1原子力発電所の事故が突きつけた問題は根深く、単に原発をやめるやめないのレベルを超えて、この国のあり方の根本を問うものであっただけに、当時、まだ「将来的な選択肢」レベルの問題意識で捉えられていたベーシックインカム議論が、脇へ追いやられてしまったのも無理からぬことであった。

差し迫った現実問題として再浮上するベーシックインカム
 そして、2012年年末の総選挙で登場した安倍政権は、特定秘密保護法や安保関連法を強引に成立させ独裁指向を強める一方、いわゆる「アベノミクス」と称して「世界で一番企業が活動しやすい国」にするために消費増税・企業減税を行う等、貧富の格差をますます拡大させた。

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(図1)

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(図2)

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(図3)

 実際、バブル経済崩壊以降徐々に上昇してきた相対的貧困率(等価可処分所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合)は、3・11以降も引き続き上昇し(図1)、OECD諸国のなかでも最悪の水準にある。(図2)特に子どもの6人に1人は貧困であり、ひとり親家庭の場合、相対的貧困率は50パーセントを超え、わけても母子世帯、シングルマザーとその子どもの貧困率が突出している。(図3)
 こうした現実は、当初、ベーシックインカムという理想から人々の関心をますます遠ざけるものであったが、アベノミクスやその破綻も冷静に見つめてみれば、その先に世界規模の資本主義の終焉へ向けた危機的様相が見え隠れしていることに気づく。
 そこで私たちにとって、改めてこうした日本と世界の社会・経済状況の危機を救う有効な解決手段として、理想や未来の問題でなく、差し迫った現実の問題として、ベーシックインカムがクローズアップされてくるのである。
(続く)

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