SSブログ

(長期連載)ロボット社会の到来とベーシックインカム⑤12万円のベーシックインカム支給に必要な財源調達 [Basic income]

12万円のベーシックインカム支給に必要な財源調達
 そうしたことを前提にして、ここで日本においてベーシックインカムが財政的に可能であることを示す数字の話を少ししておこう。いくらベーシックインカムが理想論として正しくても、それを裏づける財源が確保されなければ机上の空論に終わってしまうからだ。(以下の数字はすべて2016年度予算ベース)
 まず、日本の人口1億2千万人すべての国民(外国人を含むかどうかは議論の対象になるだろうが、納税者である以上、在日外国人もベーシックインカム支給対象になると私は考える)に老若男女問わず、1人毎月12万円のベーシックインカムを支給すると、172・8兆円という膨大な財源が必要になる。
 まず、一般会計のうち年金費用11・4兆円、生活保護費2・9兆円、雇用保険費用0・15兆円を合わせた社会保障関係費14・5兆円がベーシックインカムによって不要になる。(表1)①

w.jpg

表1 2016年度社会保障関連予算(財務省)

 さらに法人税、所得税と個人住民税を過去最高税率並みに戻すと、法人税は20パーセントアップして最大9・4兆円、所得税と個人住民税も20パーセントアップとして最大5・7兆円、そして相続税1千万円以下を非課税としそれ以上を100パーセント課税(世代間の格差継続を防ぎ、個人の自由と平等、そして友愛=分かち合いを最大化する趣旨)するとして40兆円の増収が見込め、それらを合わせると55・1兆円になる。(図1~4)②

a.jpg

(図1)

b.jpg

(図2)

u.jpg

中川慎「個人金融市場の2008年問題」より転載
(図3)

c.jpg

(図4)

 また、金融資産をはじめとする国民の正味資産3千兆円のうち、一定額以上の資産へ年3パーセントの富裕税を徴収すると、最大90兆円の税収が見込める。(図5)③

v.jpg

マイナビニュース、2016年1月18日

(図5)


 以上①②③を合計すると159.6兆円になり、月額12万円のベーシックインカム支給に必要な172・8兆円に13兆円ほど足りないが、月額11万円(最低でも10万円)の支給は可能だ。
 さらに私は、今後ますますロボット、コンピューター、AI等が人間労働に置き換えられていくなかで、元来人間の労働力に支払われていた賃金がロボット労働には一切支払われず資本の側に蓄積されていく不合理を解消し、ロボット労働の果実を国民全体で享受すべく、本来人間の労働力に対して支払われていたであろう賃金の3割程度を「ロボット税」として徴収することを提唱したい。*
*ネスレ日本の家電量販店へのペッパー派遣の例でも、ペッパーリース料が月額5・5万円で、仮にアルバイトを時給千円で1日8時間雇うと1ヶ月24万円の人件費がかかるとあるので、この24万円の3割=7・2万円をロボット税として徴収しても、かかる費用は7・2+5・5=12・7万円で、アルバイトを雇う場合の半額程度で済むことになる。
 これにより、月額12万円のベーシックインカム支給に必要な残額が補填されるだけでなく、将来「ロボット税」は、ロボット等によって仕事を奪われた人々がますます増えるなかで、国民全体のベーシックインカム支給額を引き上げていく原資となるだろう。なぜなら、人間労働がロボット等に置き換えられるほど、「ロボット税」の税収は増えていくからだ。

経常純益.jpg

出処:財務省法人企業統計調査結果より作成。

注1:2009年度より日本郵政、郵便事業、郵便局を含む。

注2:金融業、保険業を除く。

(図6)

貯蓄.jpg

菊本義治・西山博幸・本田豊・山口雅生著『グローバル時代の日本経済』(桜井書店、2014年)図3-3より転載
(図7)

*図6を見ると、リーマンショック時の落ち込みを除いて、企業の経常利益は増え続け、株主配当も増加傾向にあるが、人件費(賃金)は横ばい状態である。そして、その間企業の内部留保も一貫して増え続け、2015年には377兆円に達している。(財務省、法人企業統計)また図8に見るように、企業貯蓄が増えるのに反比例して家計貯蓄は減り続け、無貯蓄世帯の割合は3割を超え、単身世帯では5割に迫るともいわれている。
(続く)

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。